anothermorning2
私は大人になりたくなかった。
大人になって起こる良いことなんか思い付かなかった。
生きたくなかった。
明るい未来が想像できなかったから。
私の内深くにあるのはいつも「幸せになれない」という恐怖だった。
仕事をしても、恋をしてもどんなにそれが上手くいっているように見えても「いつか駄目になる」と怯えた。
私はいつも「愛されない」「出来ない」可哀想な人である事を無意識に選んできた。
それは、私が「愛されてない」「なにも出来ない」と勝手に思い込んでいたからだった。
両親は彼らなりの精一杯で私を愛してくれていた。未熟な人だったかもしれない。歪んだ愛し方だったかもしれない。でも、何時だって愛してくれていた事は確かだった。
それなのに、幼い私は足りない事に気を向け過ぎて、いつの間にか幸せな瞬間を感じるよりも、足りなくなる事ばかり考えるようになってしまった。
その事に気づいて、両親の愛を思い出した時、幸せと感謝と後悔とで、涙が溢れて止まらなかった。
大きな声で泣きながら、何度も「お父さん、お母さんありがとう」と言えた。
大嫌いだったはずの父に、初めて愛情を認めることができた。
世界は恐怖でできてるんじゃない。
世界は美しい。
恐れの目でみすぎて、美しさを忘れていただけだ。
「失ってしまう」という私の恐怖が、世界の危機を作っていた。
私の目が恐怖で曇る前は、世界には美しいものしかなかった。
世界は愛で出来ている。
私が望めば世界はもっと美しく輝く。
全ては私の「想い」のままに。